理事長所信


~はじめに~

 1915年、アメリカ合衆国、ミズーリ州、セントルイスにおいて、32人の青年が集結し、公共道路と公園整備のために市債の販売を促進するという目的の下に「The Young Men’s Progressive Civic Association」(進捗的青年市民協会)が発足されました。この青年団体の活動の灯はやがてアメリカ合衆国全土、そして世界を巻き込み、今現在の青年会議所活動の礎となりました。戦後間もない1949年、混沌とした社会情勢の中ここ日本でも「英知と勇気と情熱」をもった青年有志によって青年会議所活動が始まりました。その23年後の1972年、先輩諸兄のまちに対する実直な熱い思いの下に社団法人飛騨古川青年会議所が創設され、本年で48年目を迎えます。「明るい豊かな社会」の実現を目指し、先輩諸兄はこれまで並々ならぬ努力と情熱を注ぎこんで活動してこられました。今を生きる私たちには歴史ある飛騨古川青年会議所の伝統と価値を継承し、更に高めて次世代の青年に引き継いでいく義務があります。JAYCEEとしての誇りを胸に「英知と勇気と情熱」をもってこのまちの明るい未来のために誠心誠意を尽くして活動してまいります。

 

~自分自身と真摯に向き合う~

「誠実な人間でありたい」私はそう願っています。うわべだけの関係や評価を得ることは簡単かもしれませんが、それは健全で永続的なものではありません。友人関係でも仕事の付き合いでも長く続く良い関係はいずれ信頼関係に変わります。健全な信頼関係は時にぶつかり合うこともあります。それは相手の事を真剣に思っての厳しさであり、より成長してほしいと思っての優しさでもあります。相手に迷惑をかけてしまうこともあるかもしれませんが、そんな時は誠実な気持ちで自分の非を素直に認め失敗を反省し、正すことによりお互いの信頼関係は更に強くなると考えます。誠実な行動から得た評価は自分のその時点での本質的な評価です。その評価を客観的に分析することにより、より良い自分になるためにはどうしたらいいのか、更なる成長のためにはどうしたらいいのかという気づきがあるはずです。

私は青年会議所に入会してから数多くの経験をさせて頂きました。メンバーとの出会い、青年会議所に所属しているからこそ得られる学びや自身の考え方に対する変化など、現在の私の価値観を形成する上で重要な役割を担っています。青年会議所活動では失敗が許されます。失敗は非常に価値のあるもので、失敗から多くの教訓や学びが得られると信じています。失敗そのものの結果だけを見れば何も良い物は残っていないかもしれませんが、なぜ失敗したのか振り返ることにより次の成功に繋ぐことができる可能性を導くことができると考えます。真剣に物事に取り組んだ末の失敗は悔しい経験ですが、その挑戦の過程で生まれる人間関係や気づきは挑戦した者だけが得ることができるかけがえのない財産です。ひとは失敗を恐れると新しいことに挑戦できなくなります。失敗から学びを得るという点に重きを置けば、新しいことに挑戦する人材が増えてくると信じています。自身と真摯に向き合い挑戦し続けましょう。その先には大きな成長があるはずです。

 

~まちの社会問題を的確に把握し、未来を切り拓く~

 今の日本は多くの社会問題を抱えています。近隣諸国の不安定な情勢は日本に対して脅威となります。国内においても、少子高齢化、生産人口の減少、働き手不足、先行きが見えない社会保障制度など、様々な問題が私たちをとり囲んでいます。私たちはこういった問題に対して嘆き悲しむかもしれません。しかし、このような問題は時代ごとに変化していくものであり、それぞれの時代で私たちの先輩は同じような問題や危機的状況を迎え、乗り越え、そして解決してこられました。今を生きる私たちも周囲の問題を的確に把握し、私たちが理想とする社会に近づけられるよう努力し続ける義務があると考えます。

飛騨地方は岐阜県の中でも少子高齢化の先進地域と呼ばれ、生産人口の減少による働き手不足は飛騨市の多くの企業にとって克服しなければいけない重要課題の一つであると認識しています。この問題は10年、20年後には県内外の多くの地域が必然的に直面する課題であり、飛騨市は「課題先進地域」と呼ばれています。青年会議所同様、企業をつくるのはひとであり、個々の成長が企業の発展に直接的に繋がると考えます。飛騨市が永続的な発展を成し遂げるためには、今飛騨市にあるお店や昔から飛騨市で頑張っている企業の商売がもっと盛り上がる必要があります。売り上げを伸ばし業績を上げて更なる雇用を創出することにより、企業の健全な経営の為の持続可能なサイクルができると考えます。「雇いたいのに誰も来てくれない」多くの飛騨市の企業からこんな声をよく耳にします。私たちは地域に必要とされるリーダーであるべく、こういった声に常に耳を傾け、まちが直面する問題に真剣に取り組む必要があると考えます。行政や他団体と連携を取りながら、青年会議所だから提案できること、取り組めることが絶対にあると確信しています。全国に先駆けてこの問題に真剣に取り組むことにより、10年、20年後もこのまちが豊かで活気あふれるまちであることを強く願います。

子どもたちにずっと色褪せない記憶を持ってほしいという思いを込め、本年で6回目を迎える「ひだのはたらく車展」。子どもたちには普段近くで触れることのできない工事車両や特殊車両の展示と体験を通じて、地元で働くことの魅力に気づいて頂けるきっかけとする事業として毎年多くの来場者を迎えております。開催直前には市民の皆様からの多くの期待の声も頂くようになり、広く認知されてきているのではないでしょうか。この体験は大人になっても忘れられることなく小さいころの楽しい思い出として残り続けるでしょう。子どもたちがこの思い出を胸に、将来飛騨市で就職してまちのために貢献してくれるようになることを心から望んでいます。そのためにも私たちは「ひだのはたらく車展」の価値を高め、この事業の持つ更なる可能性を創出していく必要があると考えます。

 

~まちを愛する若き誠実な心の醸成~

現在の日本は情報化が進み、私たちが子どもの頃と比べ、ソーシャルメディア、SNS、その他のコミュニケーション媒体を通じて、日本国内に限らず海外の情報も容易に手に入るようになりました。こういった環境の変化は私たちが経験したことのないような様々な影響を現在の子どもたちに与える可能性があります。情報交換の利便性が向上した一方で、直接的な人と人とのやり取りが少なくなっていると感じます。これは子どもたちにとっては閉鎖的な環境であり、健全な成長の機会を与えてくれる環境とは言えません。子どもたちは友人、先輩、両親や他の大人と接し、対話や体験を共有する中で挨拶、礼儀、感謝の気持ちを学び、豊かな感受性と素直な心を育んでいきます。この経験は子どもたちの自己を形成する上で重要であり、大人になってからも社会で必要とされる貴重な財産だと考えます。子どもたちは自ら選んで今の環境に身を置いているのではありません。子どもたちが成長する環境を形成しているのは現在の日本社会であり、今を生きる私たちです。今、子どもたちが置かれている環境がこのまちに本当にふさわしい環境なのか、私たちは正確に把握し、子どもたちの誠実な心の育成のために努力していく必要があると考えます。

「ふるさと意識をもち学び続ける人づくり」これは飛騨市教育委員会が基本理念として掲げているものです。少子高齢化が進む中、働き手の減少や、将来的な地域経済の衰退が懸念されています。少しでも多くの子どもたちが地域に愛着を持つことは、次代のよき担い手となり「明るい豊かな社会」を生み出す原動力になってくれると考えます。私たちは行政、学校、他のまちづくり団体と連携を取りながら学校や普段の生活ではできないような経験や学びを子どもたちに提供し、地域にもっと愛着を持ってもらえるよう尽力していきます。

青少年育成事業として本年で44回目を迎え、地域にも根付いた「飛騨古川JC-CUP」では、子どもたちにサッカーを通じて、心・技・体の鍛錬と、勝負の厳しさの中で相手を敬う気持ちを育んで頂き、何事にも果敢に挑戦し、他地域の子どもたちと積極的に交流を図ることにより、達成感を得られる体験を通じて、夢や希望を持てる心を育む機会を提供します。また、飛騨市でしかできないような体験をしていただくことで、夏休みの貴重な思い出として頂き、飛騨市の魅力の発信とまちへの愛着を育む心の醸成に繋げていきたいと考えます。

 

~誠意を持って築くなかまとの信頼関係~

会員拡大は青年会議所活動を存続し、存在意義を高めていくために必要不可欠な私たちの使命です。そのためには、私たちは情報発信の間口を広く持ち、常に私たちの信念や活動内容を広く外部に知らしめていく必要があると考えます。その大前提として、私たちは自身と向き合い個々の成長を促し、組織としての団結を強固なものとし、市民の皆様に認められる、より社会的意義のある活動を展開していくことが重要です。また、こうして青年会議所活動で培った知識や経験を社会や家庭に広く還元していくことにより、地域に必要とされるリーダーとして徐々に認識して頂けるのではないかと考えます。やがて私たちの誠心誠意の活動は共感を得て、志を共に活動したいと感じる青年が現れてくれると信じています。

青年会議所活動に興味を持っていても、最終的な決断ができない会員候補者は少なくないと考えます。最後の一押しを決めるのは勧誘する側とされる側にある信頼関係だと信じています。青年会議所の活動目的や信念は会員候補者には理解されにくいものかもしれません。会員候補者は勧誘してくれた人の思いや人柄に共感を持って、「この人と一緒に活動してみたい」と思ってくれるのだと感じます。私たちは私たちの活動に共感し、志を共にしてくれる大切な仲間を探しています。「生半可な気持ちで勧誘しない、一人前のJAYCEEになるまで会員候補者の成長を見守ってやる」そう心に刻んで会員拡大に取り組んでほしいと私は願います。先ずは会員候補者と誠実に向き合い相手を心から理解してあげてください。それはやがて信頼関係となり、入会後一緒に青年会議所活動をしていく上でのかけがえのない絆になります。飛騨古川青年会議所一丸となり、誠心誠意の心を持って会員候補者と向き合い、多くのなかまを迎え入れましょう。

 

~結び~

誠心誠意を持って青年会議所活動に取り組むこと、それはただひたすら青年会議所活動だけに打ち込むことではありません。大切な家族、そして自身が所属する企業が健全で幸せであってこそ、私たちはまちづくり活動と真摯に向き合うことができます。家族にたくさんの愛情を注ぎ、仕事に一生懸命励んでください。それは誠実な青年経済人として、そして私たち飛騨古川青年会議所が目指す「地域に必要とされる愛情豊かなリーダー」としてのあるべき姿だと信じています。

私は青年会議所に入会してから多くの学びを得ることができました。これはもし入会していなかったら得ることができなかった大変貴重な私の経験であり、未来の青年に対して自信を持って残していきたい財産です。私は飛騨古川青年会議所の一員であることを誇りに思います。私たちは誰一人取り残すことなくなかま同士が助け合い、お互いに成長を促すことができます。自分と向き合い、なかまを信じて共に成長していきましょう。そして誠心誠意、まちのため、未来を担う子どもたちのために尽くしていきましょう。その先には「明るい豊かな社会」の実現があると信じています。